vol.1 高校受験 私立高校の正しい選び方 ~ 私立高校のココを見て! 7つのポイント 2020年版 ~

 

毎年この時期になると、中学生の保護者様から「どこか、オススメの私立高校はありませんか?」という相談を受けることが多々あります。

「公立高校はどこを受験するか?」でそんなに悩むことはありません。公立高校の場合、学区・偏差値・通学時間のいずれかを基準にして、選ぶケースがほとんどだからです。
もちろん、理数科や英語科、国際科といった専門学科がある公立高校は個性がハッキリしていますが。

ところが、私立高校はそんな簡単に選ぶことはできません。
千葉県だけでなく、東京都や茨城県、埼玉県まで視野に入れると、無数に私立高校は存在するからです。
私はクセジュという塾で高校受験指導を27年やってきましたが、目まぐるしく変化する私立高校のトレンドについていくのに必死です。

昨年1年間で、100校近くの私立高校(千葉県・東京都・茨城県・埼玉県)を訪れました。
校長先生のお話や、学校の教育システム・大学合格実績の説明を聞いたり、実際の授業を見学したりして、1校1校の私立高校の「リアル」を目にしてきました。

とは言うものの、

さすがにこの場で『菊地が薦める私立高校・薦めない私立高校』を公表することはできません。
ですが、これから受験する私立高校を選ぶ中学生のお父さんお母さんに
『私立高校を見きわめるオリジナル基準』を伝授したいと思います。

あくまで私菊地の独断と偏見に満ちた、辛口基準です。ご参考までに。

 

1、校長先生のトーク冒頭に注目 ~私立高校の良し悪しは校長先生で決まる~

私立高校の説明会に行くと、最初に校長先生の話があるケースがほとんどです。
そのトーク冒頭で「大学入試改革は~」といわゆる大学入試トークを語り出したら、減点です。

「大学入試改革に対応するために、授業システムをこう変える!」ということは、
見方を変えれば「大学入試改革があるから、仕方なく変える」とも受け取ることができます。

私立高校の校長先生であるならば、時代のニーズをどう捉え、10年後20年後の日本や世界で活躍する人財を自分の学校でどのように育てるか?という明確なビジョンを、常に持っていてほしいと思います。

つまり「校長先生が理想の教育を追求し、どれだけ勉強しているか?」が大切なんです。

 

2、学校の先生方に元気がない、若い先生が少ない

説明会や授業見学・体験会、文化祭など、実は私立高校の中に入ることができる機会は結構あります。
そういった機会に見てほしいのは「先生」です。

生徒の様子を見るだけでなく、先生方をよく観察してみてください。比較的若い先生が多い高校は「学校改革がスムーズに進んでいる学校」と判断してOKです。

 

3、タブレットを生徒に持たせることをやたらと強調する

ICT教育をアピールする私立高校は本当に多いです。
「生徒には全員タブレットを持たせます!」と宣言する学校が急速に増えているわけですが…
ここも要注意。

タブレットを生徒に持たせたら、先生が「すぐに」それをフル活用した授業ができるわけではない、ということです。
タブレットを授業等に導入して5年以上経過していれば、かなり期待はできるのですが。

 

4、海外留学制度があることだけを、やたらと強調する

ICT教育と同様に、海外留学を大々的に宣伝する私立高校は少なくないですが、問題はその中身です。
単純に海外に生徒を行かせるだけなら、どの高校もできます。
海外に行かせて、生徒にどんな経験をさせるのか?どういった環境で勉強させるのか?まで、しっかりチェックすることが重要です。
せっかく海外に留学したのに、日本人同士でいつも一緒にいて日本語ばかり話していた…というのは留学あるあるです。
私の知っている私立高校の中には、海外留学について
「留学先の学校に日本人は1人だけという環境に、わが校の生徒を送ります!」と宣言する学校があります。こういう高校には「そうそう、わかってるなぁ~!」とつい感心してしまいます。

 

5、校内で予備校や塾の映像授業を受けられることをウリにする

大手予備校と提携し、放課後などに予備校の映像授業を見て自習することができる高校がとても増えています。
高校の中に塾、つまり学内塾を設置している学校も増加中です。
有料だとしても、普通に予備校に通うよりも安価で、映像授業や学内塾で学ぶことができるのは、確かにメリットです。
ですが…またまた見方を変えると
「じゃあ、そもそも普段の学校授業って何なの?」
「学校の授業だけでは、学力が十分につかないということ?」
ととらえることもできます。

具体的な高校名は上げられませんが、偏差値がものすごく高くても、授業では多くの生徒が寝ている…しかも先生は注意しない(義務教育ではないか?)
クラスの大半が宿題をやってきていない…
という光景を複数の私立高校で見たことが私はあります。

確かに、このような状況であれば、予備校の映像授業や校内塾は必要となりますね。
でも…その高校にわが子を通わせている親の気持ちになってみると、複雑です。

 

6、授業見学をさせてくれない

私立高校は学校見学会の時に、授業を見学させてくれるケースが多々あります。
授業を中学生や保護者に見せることができるということは、高校側が授業に自信を持っている証拠です。

ただし、私の経験上、実際に授業を見学したら…えっ……というケースも過去に多々ありましたが、リアルなその高校を知るためにはやはり実際の授業風景を見てみるのがベストです。

 

7、大学合格実績を中高一貫生と高校からの入学生を合算して出す

現役+浪人で合算して出す

ここ最近の難関大学入試の難化を受け、どこの私立高校も大学入試では苦戦しています。ですから、少しでも数字を大きく見せるために、

①中高一貫生(その私立中学校からそのまま高校に進学した生徒)・高校からの入学生

②現役生・浪人生

の大学合格実績を合算した数値だけを公表する私立高校があります。
もちろん、「高校から入学した生徒のみ」の大学合格実績や、「現役生のみ」の大学合格実績を発表する高校もあります。

高校からその私立学校に入学するか考える生徒・保護者の皆さんにとって、やはり興味があるのは「高校からこの学校に入って、どういった大学に行けるのか?」ですよね。
ですから、丁寧に高校から入学した生徒の大学合格実績を出してくれる私立学校というのは私から見ると、誠意のある学校だなぁ~とプラス評価なんです。

 

いかがでしたか?

ここに挙げた7項目は、私が私立高校を見る際の1つの基準でしかありません。良い学校かどうかは、実際にその高校を見学して判断してください。
お子様の直感や感覚が、その高校に足を踏み入れた時にピーンと来るかどうか?を一番大切にしてください。

イデアル代表 菊地 健哲