vol.43 受験生の親 心がまえ PART.2

 

 

高校入試が本格的に始まる1月中旬まで、あと3ヶ月になりました。

「まだ3ヶ月ある」と考えるか、「もう3ヶ月しかない」と考えるか。いずれにせよ、これから入試が始まるまでの1日1日をどうやって過ごすか?は、受験生にとってとても大切です。

その一方で、受験生のお子様を抱えるお父様・お母様の中には「本当にウチの子の高校受験は、大丈夫なんだろうか?」と常に心配してしまう…という方が少なくないと思います。

そこで前々回ブログに続き、『受験生の親 心がまえ PRAT.2』をお送りします。

 

 

タイプ② 不安と心配で一人悩む  不安心配先行タイプ

 

【お父様・お母様の行動】

・家での子どもの様子を見て、悲しくなり悩む。

・模試や中学校の成績を見て、絶望する

・「入試で失敗したら…。」と先回りして悩む。

・同級生のママ友とできるだけ顔を合わせたくない。

 

マジメなお父様・お母様にとっては、これから入試が終わるまでの4カ月ちょっとは本当にキツイです。受験生であるお子様がすでに受験モードに入って、自分から進んでガンガン勉強してくれている…なんて家庭は、ほんの数%です。

中学校から帰宅しても、テレビをつけてドラマの再放送を観ていたり、動画やゲームに夢中になっていたり、ひたすら寝ていたり…そんな中3生はまだまだ多くいます。

ですから「本当にウチの子は受験、大丈夫なのか?」と皆様が常に心配になってしまうのは、とてもよくわかります。

 

ただ、皆様のその心配がゼロになることは、すべての入試が終了する2月末までありません。お子様がめちゃくちゃ勉強するようになっても「大丈夫かな~?」と思い続けるはずです。さらに言ってしまうと、高校入試が終わって、お子様が高校に入学しても「大丈夫かな~高校の授業についていけるかなぁ?」と、また新たな不安が誕生します。

 

では、なぜこんなにお子様のことが心配で不安なのでしょうか。

それは、心の奥底で「お子様を信頼していない」のかもしれません。

信用と信頼という言葉は似ているようで、実は意味が異なります。

信用はこれまでの経験に基づく評価として信じることです。信頼は「まず無条件に信じることから生まれる期待」を意味します。この「無条件に」というのが、とても難しいですよね(汗)。もう10月中旬だというのに、まだ本気で勉強しない我が子を見て、無条件に信頼??信じる??と疑問に感じる方もいるかもしれません。

 

これまでに私が指導してきた、ある中3生Aくんの話です。

お母様がとても心配性で、Aくんの何もかもが不安。模試の成績が上がっても不安。そんな時に私が、

「お母さんに私からお願いがあります。Aくんを少しずつで良いので無条件に信じてみましょう。こんなにAくんのことを考えてくれるお母様のお子さんですよ?Aくんは大丈夫です。自分の責任でしっかり勉強して、必ず入試で最高の結果を出してくれます。ですから、お母さんは良い意味での覚悟を決めて、ゆったりとしていてください。それができたら、Aくんはもっともっと伸びますよ。」

 

とお母様にお願いしたんですね。そのお母様は幸いなことに、私をとても信用してくれていたので、少しずつ無条件に子どもを信じるキャンペーンを実践してくれたんです。

すると、Aくんの表情は日に日に良くなり、勉強に主体的に取り組むようになっていきました。わからないことがあれば、塾の先生にすぐ質問し、納得がいかなければとことん塾に残って先生と議論していました。Aくんは第一志望校である国立大学附属高校に見事合格しました。

 

このお母様からAくんに対して「無条件に信頼するよ!」と、公言したわけではありません。お母様の信頼という思いが、Aくんの心に自然と伝わったわけです。よく「中3ともなると、親の言うことを子どもは聞かない。」とおっしゃるお父様・お母様がいますが、私は「いやいや、お子様は常にお父様・お母様をよく見ていますよ。」とお答えします。言葉にせずとも、親の気持ちや想いを子どもは、とても敏感にキャッチします。

 

実は志望校合格に一番大切なことは、この『親の思い=お子様への信頼』だと私は思います。

親が不安な思いでいると、その思いはお子様に必ず伝わります。親が無条件に信頼していれば、お子様はその親の想いに喜び、期待に応えようとします。高校受験というのは、技術だけでは成功を勝ち取れないと私は思っています。